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認知症・健康長寿・三焦鍼法

前回と言っても、少し前になってしまいますが、認知症のことを、今ブログであげさせていただきました。今回はその続きです。

私もこの度、一般社団法人老人研究会http://gochojunet.com/index.htmlの認知症Gold-QPD(三焦鍼法)の研修を終え、無事Gold-QPD認定資格をいただきました。

三焦鍼法とは、中医学を基礎とし、天津中医薬大学の韓景献教授のグループが、認知症患者に対して、開発した治療法です。三焦鍼法のことを詳しく書きますと、専門的になりすぎますので、この場では割愛させていただきますが、なぜ、認知症に効果があるのかを、簡単に説明しますと、三焦機能は人体の生命活動を調節する。三焦機能が正常であれば、上、中、下焦の流通が円滑で、産生された栄養を絶えず内部諸臓器に輸送し、五臓六腑の栄養素は三焦機能を介し体内をめぐり、気、血、津、精の輸送と相互の転換を成就し、臓器の陰陽調和のバランスを取ることができる。認知症は、その三焦機能の異常の典型的な例で、人体は老化するに伴い、陰陽の失調が起き、精陽が上昇しなくなり、濁陰が下がらなくなる。三焦機能異常を引き起こし、更に陰陽失調が重篤化し、悪循環が形成され、多くの臓器症状を起こし、病気が老化の促進とともに進むと、三焦異常は更に重篤化し、五臓六腑の全てに反映し、気、血、津液、精の不産生が起き、痰、湿、瘀血、内毒が生まれ、精陽は上昇しなくなり、濁陰が落ちなくなると、脳髄空虚、精神不安になる。それが長引くと記憶力が落ち、認知症の症状が現れる。

鍼灸ルネッサンス 認知症・健康長寿・三焦鍼法 川並汪一編著

この三焦を調整し、陰陽の流れを良くして、気・血・津液を体に隈なくめぐらせることにより、認知症を改善していきましょうという治療が、三焦鍼法です。

しかし、韓先生も、老人研究会会長の川並先生も話しておられましたが、一度認知症になってしまったら、残念ながら現在の医療では治すことはできないと。この三焦鍼法でも、改善はできても治すことはできない、まして薬でも治らないと言っております。

では、なぜ三焦鍼法か?

ここに三焦鍼法による症例集をあげてみます

2.認知症に対する鍼治療の効果 ―三焦鍼法による症例集積-(JAM)

Effects of acupuncture on dementia
-A case series with a novel Sanjiao Acupuncture method- Japanese Acupuncture and Moxibustion; 2017; Vol.13(1): 9-15

はじめに

認知症に対する鍼治療の報告は、中国を中心 に散見されるものの臨床的な研究はいまだ少な くその有効性は十分に理解されていない。

認知症の患者と、生活習慣病等を抱え、もの忘 れが気になる高齢者に対し、三焦鍼法鍼治療を 行いその効果と有用性を検討した。

対象

• 患者本人と家族ないし介護者に対し口頭で説 明し、書面で同意を得た56名(男性17名、女性 39名、平均年齢82.8±9.8歳;60~100歳)に対 し、三焦鍼法を週1回3ヶ月合計12回行った。

施術者
• 施術者は(一社)老人病研究会主催の認知症

GOLD-QPD育成講座を修了し、認知症の一般 的な医学・介護情報と三焦鍼法治療の技術認 定を受けた鍼灸師22名

ー中略ー

考察

• 週1回3ヶ月の鍼治療ではADの確定診断がつい • てから、あるいは身の回りの世話が自分ひとり でできない程度に介護度が進んでいる状態で は、MMSEは維持する可能性はあるものの向上

・鍼治療により身体の痛みといった症状の緩和 や、家族・介護者とのコミュニケーションが取り やすくなる。

・認知症患者の周辺症状の改善と患者のQOL改 善に寄与する可能性がある。

・施術後、会話 笑顔 意欲表情・印象・緊張 言葉・自信 暴言 不安・会話は向上するものの、MMSEの改善は難しい

• 生活習慣病等の症状を抱え、もの忘れが気にな る頃から、あるいは介護レベルの低いうちに鍼 治療を行うことで認知機能の低下を抑止し、認 知症発症の予防になる可能性が示唆された。

・身体の各部位の痛みの軽減や、会話や笑顔、 意欲や表情といったコミュニケーションの改善がみられた。

上記のように、三焦鍼法の治療をすることにより、治らないまでも改善を図ることが可能であることがおわかりかと思います。

しかし、認知症に関しては、なってから慌てるよりも、まずは予防が大事だということが今回の研修を受けてわかりました。認知症の予防には、生活習慣の改善が大切であること。

生活習慣の改善で予防

記憶や思考能力が徐々に失われる、アルツハイマー型認知症。その発症や進行にメタボリックシンドローム、が大なリスクとなっていることが、疫学研究などで明らかになりつつある。メタボが原因で神経の保護作用が弱まったり、高血圧を引き起こしたりして、脳細胞を認知症になりやすい状態にしていると見られる。決定的な治療法のないアルツハイマー型認知症。メタボの解消が予防に役立ちそうだ(産経ニュース 2015/4/14)

認知症は、予防が大切、きちんとした食生活と、成人病を持っている方はその治療を最優先させましょう。成人病等の持病がある方は、ない方に比べ、認知症になるリスクがかなり高まることはすでにデーターででています。まずは健全な身体を作ることにより認知症を予防することだと思います。これらについては鍼灸の得意とする分野です。昔から未病を防ぐ、なってからでは遅いと、東洋医学では言われていることですから。

*今ラウレア鍼灸院では、三焦鍼法の効果についてデーター収集のため、治験者を募集しております。

  • 認知症の方
  • コロナ後遺症の方
  • メンタル疾患をお持ちの方

週1回通院でき、3ヶ月間続けられる方を募集いたします。治療は三焦鍼法で行います。料金に関しては、診療材料費の実費分程度いただきます。なお得られましたデーターは症例として、老人病研究会で発表させていただく場合があります。その場合は、個人が特定できないよう配慮いたします。

詳細につきましてはラウレア鍼灸院までよろしくお願いします。